大好きな人が空に旅立ってしまってから3か月。はじめのひと月は家にいる時は泣いてばかりで、そっとしておいてくれた家族がとてもありがたかった。それから10月の誕生日にも11月のジュリの誕生日にも、23年間何度も郵便で受け取って見慣れたきれいな字の彼女からの手紙は初めて届かなくて、私と1日違いの彼女の誕生日にも、自分の実家と彼女の家だけはどこからでも手紙が書けるように暗記しているその住所宛に、私はもう手紙もカードも送ることはないんだな、と、そんなことを空を見上げながら考える度にズシンと心に悲しみが響いて何とも言えない気持ちになりました。
時間が経つごとに、悲しい気持ちは少しずつ穏やかに、悲しんでいても空の彼女は喜ばないよ、なんてそんなことは十分頭でわかっていて、だから仕事をいつもに増して一生懸命してるし、家のことも。でもただ単純に、もう会えないけれど、会いたい。「もう手紙は書けなくなるけれど、これからはきっとあなたのすぐ近くにいるからね。」と最後のメールに書いてくれた彼女に恥ずかしくないように頑張ろうと思って背筋を伸ばして一生懸命暮らすけれど、恥ずかしくても猫背でもいいから本当はただ会いたい。
彼女との思い出をつづるアルバムを作って、書き進めていたけれど、寂しくなって一旦休憩。バイオリンも休憩。家にいる時に、何か没頭できるものはないかな、と思った時にやっぱり私の周りには毛糸がたくさんあって。11月は好きなスティーブン・ウェスト氏のTexture Timeというショールを編んでいました。ただ黙々と編んでいました。
ふわふわでいろんな模様が入った面白い形のショール。完成して雪の上で写真を撮りました。
今年のはじめにYOUTUBEのおすすめか何かで知った、イングランドの北の方に暮らす女性のチャンネル、The Last Homely House 。ケイトさんの話し方が私の友達に似ているな、と始めはイングランドが恋しくて見始めました。彼女の生活の紹介、キルト、編み物、スピニング、ベイキング、クラフト、猫。ビーキーピングもするし、ニワトリやがちょうとの暮らし。。とにかく書ききれないほどいろんなことが上手なケイトさん。見ているうちに大好きなチャンネルになりました。特に私の友達が亡くなってからは、家にいる時はずっと聞いていたと思う。聞いている時は勝手に自分がイングランドにいて、大好きな友人やケイトさんや周りの人たちと過ごしているそんな気分になっていました。現実逃避と言うか。
秋に、20年ずっとケイトさんのそばにいた大親友と呼ぶ猫が亡くなり、辛い気持ちが痛いほどわかりました。
ケイトさんはクリスマス前に、家族、地元の友達や知り合いと一緒に、クリスマスボックスと言うのを作り、販売しています。今年は、その亡くなった猫をヒントに地元のアーティストに描いてもらった絵を知り合いにプリントしてもらったもの、チャンネルにも時々登場する息子さんが撮った写真をカードにしたカードセット、絵が上手な娘さんの描いた絵のついたエプロン、ケイトさんの話を小さな本にしたもの、手作りで今も伝統的なやり方でろうそくを作る工房のビーズワックスキャンドル、そして、ガラスの工房で作ってもらったオーナメントが入ったボックスを売りますよ、と、ケイトさんがそれぞれの工房や作業場を訪れて一緒に制作する過程などをアップし紹介していました。ケイトさんの大親友だった猫のプリントが出来上がったのを見た時、愛に溢れた作品にものすごく感動しました。ガラスのオーナメントが出来上がったのを見た時に、私は毎年オーナメントを一つ買っているけれど、今年は私の友達を想う特別なものを選ぼうと思っていたので、イングランド製の手作り、しかも世界で一つのガラスのオーナメント、いいなぁと思いました。
でも、数の限られたそのクリスマスボックスはショップに出た途端に売り切れてしまうと去年の様子を見て知っていたので、自分がそれを買うなんて無理だろうな。。と思いながらも、販売の時間ちょうどに見て試しに購入ボタンを押すと、カートに入れることができました。手作りのものが集められたクリスマスボックス、英国からと言うことも加わって、普段では自分で簡単に購入できるような価格ではないけれど、自分をかぶせ合わせて見てきて、彼女のビデオに支えられて励まされた感謝の気持ちも込めて、購入してケイトさんをサポートしようと思いました。後で聞くと販売から8分ほどで売り切れたというそのボックスが英国から届きました。
今まで、英国から荷物が届くのは私の友達からだけだったから、不思議な感じでした。自分で買ったのだけれど、彼女からの贈り物のような気がして、でも、違う。アドレスの字も違うし、においも違う。でも、とても特別でした。
チョコレートコインもコンフェッティーもギフトと一緒に入っていました。 |
一つ一つは12月に入ってから開けようと決めていたけれど、猫のプリントだけはすぐに出して部屋に飾りたかったので、箱を開けました。丁寧にパッキングされた箱、ケイトさんと義娘アナさんが箱に詰める様子もビデオで上がっていたので、それが自分の手元に届いて、また不思議に感じました。箱の一番下に置いてあった猫のプリントを見た瞬間心が暖かくなりました。猫が特別好きと言うわけではなかったけれど、このプリントには本当に想いがいっぱいこもっていて、とても素敵だと思いました。
12月に入って、はじめにガラスのオーナメントの箱を開けました。一つ一つ手作りで模様が違うクリスマスツリー。亡くなった私の友達はいつも私たちにイングランド製のカードやプレゼントをこだわって選んでくれていたから、ぴったりだと思いました。「これを買ったんだよ」と彼女の娘さんに写真を送ると、「ママはガラスのオーナメントが大好きだった、エリコすごいね、きっと空でママが大正解!って言ってにっこりしてるよ。」とすぐにメールが返ってきました。私も、そう思う。
クリスマスツリーを切ってきたら、オーナメントを飾ります。また背筋を伸ばして時間を大切に心を込めて生活したいと思います。
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