私には弟がいます。
好き勝手して親を振り回してきた姉を見てきたからか、彼は本当に優しくてしっかりしていて親想いで立派な人になりました。
私立の大学をふらふら、さらに就職もせずに英国にふらふら。帰ってきて落ち着いたと思ったらカナダ人と結婚してカナダに行っちゃった。そんな私の対照的、しっかりと勉強をして国立大学、大学院、そして企業に就職して家族を築いて、遠いながらも両親のこともいつも気にかけてくれいる弟です。
そんな彼が、海外転勤に決まって、出発がもうすぐです。
素晴らしい機会に恵まれたことを心から応援する気持ちの裏側に、海外暮らしの先輩として複雑な気持ちもあります。
日本にいた時、私は特に英国びいきだったから、「誰かが海外で暮らしているんだって」って聞くと、いいな、かっこいいな、素敵だろうな、羨ましいな、すごいな~、なんて思っていたけれど、多分そういうのは、もしかしたらセレブリティとか特別な環境ならあるのかもしれないけれど、海外だからということで、すごいとか素敵とかそういうことは、ない。どこの国にいようがみんな環境になじんでコミュニティーの中で暮らしていくことに必死だと思います。
違う言葉を毎日聞いて、どこに行っても電話も看板も新聞も本もテレビも手紙も書類もみんな違う言葉で、脳が疲れる。一生懸命コミュニケーションをとろうとしても通じなくて落ち込む。あまりに通じないと相手にしてもらえないから、親日家とかむちゃくちゃ親切な人とか興味を持ってくれる人に出会わないとなかなか「友人」なんて呼べる関係は築けない。文化やしきたり、背景が違うから日本じゃなんとなく伝わったニュアンスが全然伝わらない、暗黙の了解とか、言わなくても通じるとかそういうのが違う、宗教が違う、気候も違うし、ルールも違う。考え方の元にあるものも違うし、日本で当たり前にしてきたことが不思議に思われたり、日本ではありえないようなことを見たり聞いたりもして戸惑う。
私はカナダ生活ももうすぐ8年、英国は1年、40歳の人生の中でほぼ4分の1を日本から離れた場所で暮らしてきているけれど、振り返ってみて、やっぱり簡単じゃなかったなと思う。簡単じゃない日々は日本にいても、どこで暮らしていてもそうだと思うけれど、でも、言葉と文化、感覚、その違いで悩んだことがいっぱいありました。
だから、これから弟・義妹・甥が海外暮らしをはじめること、経験者・姉、という立場から見ると、言葉の違いという大きな壁の前で彼らが私が今まで経験したようなストレスや不都合をこれから体験するのだろうか。。。という心配半分あるのが正直なところ。
私は多分あまり「覚悟」ができていないまま、カナダに来たんだと思います。期間もわからないし、別に暮らしたい国だったわけでないし、興味があったわけでもなかった。この選択が良かったのかもわからない。だから、ずいぶんの間、「日本だったらこうだったのに」「日本の方が良かったな」と比べてゆらゆらしていました。帰りたいって泣いたり。
この町に去年まで2年くらい仕事の関係で来ていた若い友人夫婦はきっと同じように不便なことも辛いこともあっただろうけれど、その期間限定の2年間という機会をとても感謝して楽しんで暮らしていたように見えて、彼らのその姿勢を素晴らしいと思っていました。山の中で不便だと落ち込んでいた私に「えりこさん、世界遺産を目の前にして暮らせるなんて、本当にすごいことだと思いませんか。」と、言ってくれて、私も見方を変えなければと、思いました。
ということで、弟夫婦には心配半分、ワクワク半分です。
ここにいるからこそできたこと、ここでしかできないこと、それにその文化や言語の壁を超えた先で広がった可能性、そんなことを思えば、私もすごくウキウキする。カナダ暮らしで学んだことは本当に多いし、ようやく国籍を超えた本当の友人もちらほらできてきた。逃げるのや避けるのをやめて向き合うことにした今は覚悟もついた気がする。だから、そういうプラスのことを考えると弟たちのこれからの冒険と成長がとても楽しみな気持ちになります。
弟家族もこの期間限定の海外生活を、友人夫婦のようにこれをチャンスだと思って前向きに過ごしてほしいと願います。何にも姉として今までしてきてあげられなかった私だけれど、これから先輩として、何かお手伝いできることがあるかもしれない、そう思っています。
そして、どんな時でも、どこにいても、どんなに外の風が冷たくても、「家族」という帰る場所があることが大きな心の支えでやってこれているんだと思います、これは日本にいても同じだと思うけれど。だから、弟家族も団結してティームとしてこの大きなイベントに挑戦してもらいたいと思っています。
☆☆☆
今日から私たちの町の学校も2週間の春休みに入りました。
と言っても、私は来週も再来週も仕事ですが、この週末は3連休なので気持ちを一旦リセット、掃除や溜まっていたことをして新しい新学期の準備をしたいと思ってます。
2 comments:
えりこさん
弟さんご栄転ですね、おめでとうございます!
去年、お友達家族が同じような状況でNY一年いたのですが、家族それぞれがすごく楽しそうでしたよ♪休日は沢山旅行して、大変なことも、日本にいた頃より家族の結束が強くなったって。読んでいて、きらきらしたその友人家族を思い出していました。きっと弟さんご家族は今はわくわくでいっぱいですよね、えりこさんの優しい思いも一緒に、どうか実りある一年になりますように!
オールパーパス、びっくりです。。。すごーい、同じものを使ってるとは笑。確かに買ったら早いですよね、プロの焼きたては美味しいし!でも、ドウを見た瞬間に目をきらきらさせながら捏ねる娘を見ていると、今は作る行程に意味があるんですよね。食べられる粘土のようなものですね♪
えなさん、こんにちは!
コメントどうもありがとうございます。
パン作り、今じゃ誰もいない時に、ササッとやっちゃうけれど、ジュリがまだ学校前の時は私も一緒に作ったなぁ。。。なんて思い出しました。そうですね、本当に食べられる粘土。どんな形に出来上がるかウキウキして、焼き立てのを嬉しそうな顔でほおばってました。娘ちゃんもそういう時期なんですね。楽しそうでいいなぁ~!
これからご家族が増えるえなさん、おめでとうございます!楽しみですね!
まだまだ体調辛そうですが、無理をせず、娘ちゃんとのんびりと春を過ごしてくださいね。
ブログを見せてもらうのを楽しみにしています♪
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